生き方上手
孫子の兵法「最後に勝つ人」の絶対ルール
第六講:「虚実篇」
「主導権」を握って、ライバルを圧倒する
36 競争相手の少ない分野を狙う
攻めて必ず取るは、其の守らざる所を攻むればなり。守りて必ず固きは、其の攻めざる所を守ればなり。
競争相手がいない、いても強敵ではない、というような市場に打って出れば、たやすくその市場を独占できる。
「敵の守りの薄いところを攻めれば勝てる。敵が攻めてこられないように守りを固めれば、負けることはない」孫子はそんな当たり前のことを言い、敵の隙や弱みをつくのが攻撃の鉄則であり、敵に隙も弱みも見せないことが守りの鉄則であるとしています。
これをビジネスに当てはめると、どういうことになるでしょうか。
一言で言えば、「いわゆるニッチな市場で勝負しろ」と読めます。
ニッチな市場とは、そこで勝負しようとはだれも思わない分野。
儲からない、乗り越えなければならない困難がたくさんある、とにかく面倒な仕事ばかりでやる気になれない、あるいはそこにニーズがあるとはだれも気づかない、そういった市場です。
ようするに、そんなところに打って出るライバルがほとんどいないから、うまくやれば町がいなくナンバーワンになれる、ということです。
実際、この論理の下、誰もやろうとしないことをやって、そのニッチな市場で大きなニーズを掘り起こし、ビジネスを成功させたケースはごまんとあります。
そういう市場を見つけるコツは、まず常識を疑ってみること。
たとえばペットボトルの水やお茶だって、かつては「ニーズがない」と言われていました。
タダ同然で手に入るものに、わざわざ高いお金を払う人はいない。
当時の人たちはそう考えていたのです。
しかし、現実にはニーズがありました。
ですから、いまでは「なくてはならないもの」になっています。
もちろん、ここまで市場が大きくなると、まさに「にっちもさっちもいかない」という状況。
でも、市場がないときに乗り出せば、先行者利益を独り占めできるではないですか。
ビジネスは多くの場合、誰もが儲かると思う分野に、大勢が進出しています。
そんな「分け前にあずかる」ようなやり方では、とても一人勝ちは望めません。
わざわざ大変な競争を自らに課すようなものだからです。
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生き方上手
孫子の兵法「最後に勝つ人」の絶対ルール
第六講:「虚実篇」
「主導権」を握って、ライバルを圧倒する
35 自分のペースで事を進める極意
善く戦う者は、人を致して人に致されず。
困難を前に逡巡している暇はない。困難を粉砕して進めるよう、いち早く主導権を握ることが必要だ。
困難が降りかかってきたり、厄介ごとが起きたり、調和をかき乱す人物がいたりして、自分が「振り回されている」と感じることはありませんか?
それこそが孫子の言う「致されている」状態。
自分が主導権を握れずに、右往左往させられていることを意味します。
そんなふうでは何事もうまく進みません。
自分が困難や厄介な人たちを「致す」、つまり自分が主導権を握って周りを動かしていかなくてはいけないのです。
その主導権を握るためには、いち早く困難を察知して、迎え撃つくらいの勢いで自分から仕掛けていく必要があります。
対応が後手後手にならないよう、先回りして困難を制し、自分の思い通りに事を進めなくてはならないのです。
セミナーなどでは、この言葉を聞くと多くの受講生たちが「うーむ」とうなっています。
「致されている」ことの多いわが身を反省するからでしょう。
困難に見舞われたり、厄介ごとに巻き込まれたりしたら、ぜひ自分に向かって「人を致して、人に致されず」と言ってみてください。
それだけでも、振り回されている自分を立て直すことができます。
「虚実篇」では、自分が主導権を握るために必要な「虚虚実実の駆け引き」について展開しています。
「虚実」には二つの意味があって、一つは「空虚」と「充実」。
「あるように見せておいて、実はない」「ないように見せておいて実はある」と見せて相手を翻弄することを意味します。
もう一つは「虚偽」と「真実」で、「真実のように見せておいて、実はウソ」「ウソのように見せかけて実は真実」といった具合に、敵の裏をかく戦法を意味します。
かなりの知恵が必要ですが、本編ではそこを学んでいきましょう。
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生き方上手
孫子の兵法「最後に勝つ人」の絶対ルール
第五講:「勢篇」
34 危機感を「勢いのエネルギー」に変える
善く人を戦わしむるの勢い、円石を千仞の山に転ずるが如きは、勢いなり。
木や石は平坦なところでは動かないが、急な坂の上などに置けば勢いよくゴロゴロと転がり出す。同様に、組織や人も安定した状態より、危機的な状況にあるほうが勢いがつく。
行動力に欠ける、勢いのない人や組織は、なぜそうなるのでしょうか?
一つは、安定した環境に置かれて、ぬくぬくとしていることが原因です。
あえて行動を起こさなくても、困ったことにならない。
その安心感から、行動が鈍ってしまうのです。
”平和ボケ”している今の日本のような状況ですね。
平穏な状況が続く間はそれでもいいのですが、一度大事・難事が降りかかったときに「さぁ、行動しろ」というのはムリな相談でしょう。
行動力はある種、習慣の賜物でもありますから、常日ごろから磨いておかなければ用をなさないのです。
つまり、自分自身や組織の勢いを保つには、常に危機的な状況にあること、言い換えれば緊張感を持って事に当たる姿勢を持っていることが必要なのです。
緊張感とか危機感というのは、言ってみればそのとき置かれている状況がつくる心のありようです。
人も組織も、安定しているとどうしてもだらけてしまう。
でも、目の前に常に達成困難な問題や挑戦的な課題があれば、イヤでも緊張するし、危機感からなんとか現状を打開せねばと行動を起こすようになる。
だから、自分や組織をどういう状況にさらすかが、非常に重要なのです。
もしあなたが管理職ならば、自分だけではなく部下たちを危機的な状況に追い込み、やる気を出させることも考えなくてはなりません。
でないと、「現状維持でいいや。何もせずにいたほうが、ことは丸くおさまる」などと考える、なまぬるい”事なかれ主義”の部下ばかりになって、組織がどんどん弱体化していきます。
もう一つ、人や組織が勢いをなくす原因となるのは、考え方や態度が硬直している、つまり柔軟ではないことです。
孫子が四角い物体にたとえて、「方(四角)なれば則ち止まり」と言っているように、四角四面の考え方をする人や組織はなかなか動かない。
角をとって丸くしてやらないと、行動するための勢いがつかないのです。
そういった「硬直」はほとんどの場合、長年それでうまくいっていた方法に固執することから生じます。
ということは、根本から変わらざるをえない状況をつくりださないことには、どうにもなりません。
やはり「このままだと、自分はダメになる。組織は立ちいかなくなる」という危機感を持つ必要があります。
切羽詰まった状況に置かれて初めて、人も組織も重い腰を上げる、という感じでしょうか。
ただ、本当に切羽詰まってからでは遅いので、「このままでは危うい」ということを種のうちに見つけることがポイント。
常に緊張感を持って現状を見つめ、問題点を洗い出しては自分を行動に駆り立てる。あるいは組織のやる気を引き出す。そういうことが必要なのです。
孫子の表現を借りるなら、自分自身や組織の力は常に「勢いよく深い谷を転がっていく丸い石」のようでなければいけない。
重要なのは力を持っていることではなく。
その力を引き出して「勢い」にしていくことなのです。
この「勢いに求めて、人に責めず」という孫子の考えは、個人の能力・組織の集団としての能力を発揮するうえで、非常に役立つものです。
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孫子の兵法「最後に勝つ人」の絶対ルール
第五講:「勢篇」
33 膠着状況になったら、あえて隙を見せる
利を以て之を動かし、卒を以て之を待つ。
事態が膠着してしまったときは、こちらがわざと隙を見せて、相手がそこに食いついてくるように仕向けるとよい。事態はこちらの思う通りに動きます。
双方、一分の隙もなく、ことが動かなくなってしまったときは、なんとか打開策を考えなければなりません。
その方法は、どちらかが動くこと。
ただし、自分のほうから闇雲に動き出すのは、あまり得策ではありません。
単に”睨み合い”に焦れただけで、無防備このうえない。
相手は「待ってました」とばかりに、その隙をつくでしょう。
そうではなくて、相手を動かす。
そのためには承知の上で、わざと隙を見せてみるのです。
やはり「待ってました」とばかりに、すぐにそこをついてこようとするはずです。
つまり、こちらは承知のうえなのですから、こちらが予測した通りの行動をとってくれたということです。
あとはこちらの立てた計画通りに事を進めていくことが可能になります。
そのときに一番手っ取り早いのは、相手が欲しいものをちらつかせる、あるいは望んでいる状態を見せることだと、孫子は言っています。
見るだけで、本当には与えないので「おとり作戦」とか「誘導作戦」などと言ってもいいでしょう。
こういうことを知っていると、自分で行うことよりも、相手のこのような手に乗らないですみます。
より相手の戦法が読めるようになるのです。
ますます市場は地球規模に広がり、戦うべき相手はより老獪で、よりしたたかなレベルになると思わなければいけません。
その上をいくぐらいでなければ、勝利をつかむことは不可能だと思ってください。
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生き方上手
孫子の兵法「最後に勝つ人」の絶対ルール
第五講:「勢篇」
32 短期集中が「勢い」を生む
激水の疾くして石を漂わすに至るは、勢いなり。鷙鳥の疾くして毀折に至るは、節なり。
ものは勢いだ。堰き止められた水が、やがて岩をも押し流す勢いを持つように、力を最大限に溜めて、ここぞの時に勢いよく力を発揮するのがよい。
弓矢で獲物を仕留める自分を想像してみてください。
弓を力の限りぎゅーっと絞って、その力が最高潮に達したときにエイッと矢を放ちますね?
そのときの精神状態はどうでしょうか。
非常に集中力が高いはずです。
このように、力をめいっぱい溜めて勢いをつけるためには集中力が必要なんです。
これを仕事に置き換えると、「だらだらと長時間やっても、勢いが出ませんよ。集中力をきかせて準備をし、ここぞというときに一気に行動しなさい」と読めます。
私なども日常は集中して中国古典を読むなどして、その溜めこんだ力を講演や講義のときに出すようにしています。
そうすると、話す内容が濃くなることはもちろん、勢いづいている分、話に迫力も出ます。
聞いてくださる人に言いたいことをガツンと伝えることができるのです。
物事に取り組むときに気が散るようでは、時間ばかりかかって、しかも大した成果は上がらないものなのです。
孫子はこのくだりを、激水と鷙鳥にたとえています。
激水とは、堰き止められた水が一気に流れ出すこと。
大きな岩をも押し流す力になるとしています。
また鷙鳥とは、鷲や鷹などの猛禽のこと。
彼らは上空を悠々と飛びながら獲物を探し、「いまだ!」という瞬間に一直線で獲物を目指して降下し、背骨を砕いて仕留めます。
瞬間的に出す力がすごいんですね。
これは、自然を観察する目が鋭い孫子ならではの表現です。
何ごとも勢いが大事であることは、前に述べた通り。
その勢いをつけるには、集中力がポイントであることを覚えておいてください。
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孫子の兵法「最後に勝つ人」の絶対ルール
第五講:「勢篇」
31 「あきらめない人」が最後には勝つ
奇正の相生ずること、環境の端無きが如し。孰か能く之を窮めん。
多彩にして柔軟な対応力があれば、あの手この手とやりながら、際限なく行動し続けることが可能になる。結果、「あきらめないほうが勝ち」という状況になるのだ。
「会社に入るときは、誰もが社長になろうと思っていたはずだ。ところがたいていの人は、思いと通りにならないことがたくさんあって、いつの間にかあきらめてしまう。自分が社長になれたのは、あきらめなかっただけのことだ」
経営者のなかには、こんなことを言う人が少なからずおられます。
なるほど、いい得て妙。
ただ、彼らは単にあきらめなかったわけではありません。
どんな状況でも柔軟に対応し、終わりのない戦いをするように仕事をしてきた。
それれが「あきらめなかった」という言葉の本当の意味です。
これは大事な事です。
何につけ、あきらめない人が勝ち。
「起上り小法師」のようなもので、何度倒されそうになってもすぐに起き直る。
それができるだけの行動のバリエーションを持っているということなのです。
思い出すのもイヤなのですが、私にもそんな「起上り小法師」のような人たちにやられた経験があります。
それは、ある提訴に巻き込まれときのこと。
示談にしようとなって、話し合って決着の文章をつくっていたのですが、向こうはなかなかウンと言わない。
相手は香港の人たちで、その場では「いいね、それでいこう」と言うのに、いざ決着しそうになると「いや、まだ言いたいことがある」と、話をふりだしに戻すのです。
都合、二年はやりとりを繰り返したでしょうか。
とにかく彼らはしつこい。
行くと歓待してくれるいい人たちなので、余計に始末におえない。
攻撃のバリエーションの豊富で終わりのないことといったら、まるでメビウスの輪のようでした。
最終的に私は、「もういいよ、あなたたちの好きにしてくれ。私の負けにして欲しい」となってしまったのでした。
これを一つ、みなさんの教訓にしてください。
あきらめないほうが勝ちなのだと。
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孫子の兵法「最後に勝つ人」の絶対ルール
第五講:「勢篇」
30 戦い方の「バリエーション」を増やせ
凡そ戦いは正を以て合い、奇を以て勝つ。
正攻法だけでは、物事はうまく運ばない。状況をよく観察し、それに応じて柔軟に判断・行動することが必要だ。そのためのは、多彩な能力を持ち、それらを自在に組みあわせて発揮する準備をしておくことが求められる。
相撲の取り組みを見ていると、最初は正面から立ち合って、次の瞬間から互いに次々と正攻法とき策を繰り出していきます。
力士たちはあんなに短い時間のなかで瞬間、瞬間、相手と状況を観察し、それに応じてどう攻めるかを判断しているのです。
勝敗の決め手となるのは、判断力もさることながら、それ以前の問題として、自在に組みあわせて発揮できる技をどれだけ持っているか。
ビジネスマンも強い力士のようでなくてはいけません。
軸となる能力は三つとか五つくらいでいいけれど、それらを無限に組みあわせて使えるようにしておく必要があるのです。
一言で言えば、どんな場面にも柔軟に対応できるだけの行動のバリエーションを持つ、ということです。
孫子はこのバリエーションについて、声・色・味にたとえてこう言っています。
音声を構成する要素は、宮・商・角・徴・羽の五音階に過ぎないけれど、これらを組み合わせたメロディーは変幻自在じゃないか。
色彩を構成する要素は、青・赤・白・黒・黄の五原色に過ぎないけれど、これらを組み合わせた色は無限にあるじゃないか。
味を構成する要素は、酸っぱい・辛い・塩辛い・甘い・苦いの五種類に過ぎないけれど、これらを組み合わせた味はすべてを味わえないほどたくさんあるじゃないか。
ここから私たちが読み取るべきは、自分の持つ能力はそう多くはなくとも、それらを組み合わせれば力の発揮のしようはいくらでもある。
ということです。
たとえばプロ野球のピッチャーでも、「真っすぐ(ストレート)とスライダーとフォークボールにカーブ」ぐらいしか球種を持たんない人は多いのです。
しかし緩急やボール一つ内側、外側を投げ分ける制球力とタイミングで勝ち星をあげているのです。
私の場合も、ケーススタディと財務会計とリーダーシップの知識と中国古典ぐらいしか技の型を持ちませんが、その時最も的確な順番で語っていくことにより説得力が生じているのです。
どんな状況にも対応できるよう、日ごろから自身の能力分析とバリエーション豊富な行動パターンを考え準備しておきましょう。
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