THE SLIGHT EDGE
第1部 スライト・エッジの作用
第6章 飛躍的進歩という言葉にだまされてはいけない
2004年のマスターズ・トーナメントを見たゴルフ・ファンで、それがどんな終わり方をした かを忘れる人はいないだろう。
過去10年間でタイガー・ウッズ以外の誰よりも多くの優勝回数を誇るフィル・ミケルソンは、最終ラウンドの18番ホールで6メートルのパットを残すばかりとなった。
たとえ2、3センチでも逸れれば、世界第2位のゴルファー、アーニー・エルスとの優勝決定戦にもつれ込むことになる。
パットが成功すれば、ついに批評家たちを黙らせて初のメジャータイ トルを獲得することになる。
パットを沈め、ミケルソンはグリーンジャケットを手にした。
トーナメントの4日間で、ミケルソンは合計スコア279を記録し、マスターズで2回優勝しているベルンハルト・ランガーに6打の差をつけた。
その違いは?
1日当たり1.5打の差だ。
スライト・エッジ(わずかな違い)である。
それはスポ ーツに限ったことではない。
あらゆることにおいて同じなのだ。
生活、仕事、遊びのどんな領域であれ、勝つか負けるか、成功するか失敗するかを分ける差はごくわずかな微妙なもので、たいていの人には見分けがつかない。
スーパーマンは1回の跳躍で高層ビルを飛び越えるかもしれない。
だが現実の世界では、僕たちはスライト・エッジの力で勝つのである。
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