生きかた上手
「生きかた上手」日野原重明著
人はひよわいからこそ、寄り添って生きることができます。
医療の原点は手当て、そのぬくもり
患者さんの話を聞くことに始まる医療において、たとえば咳をするとからだが痛むという人に、「痛いのは肩甲骨のあいだ?鎖骨の下?」と質問ぜめにするよりも、「痛いのはここですか。ここ?ああ、ここですね」と、患者さんのからだに手でふれてみる。
手のひらから患者さんのからだの声を聴き、眼差しや接する姿勢でこちらの思いを伝える。
ことばは言うに及ばず、五感をフルに使う。
これが医療者に求められるコミニュケーションだと思っています。
単なる情報伝達であっていいはずがありません。
目指すは、母親の、魔法のような手。
どなたにも幼いころに覚えがあるでしょう。
熱のある額に手をふれただけで気分が楽になり、痛いはずのお腹をさすってもらうと痛みが薄れた。
医療の原点は、この「手当て」にあります。
コミュニケーションの力の源をここに感じずにはおれません。
私が尊敬する医師ウィリアム・オスラーは、「医学はサイエンスに支えられたアートである」と言いました。
サイエンスは化学と訳せるでしょう。
一方、アートとは技、つまり一人ひとりの患者さんにどのようにアプローチするか、タッチするかということです。
サイエンスが病そのものを客観的かつ冷静に見つめるのに対して、アートは患者さんの心に繊細な感性でふれようとするものです。
サイエンスとしての医学がたとえお手上げとなっても、アートの部分は生の最後の瞬間までかぎりなく提供し続けることができます。
本来この2つの側面をあわせもつべき医療が、現代ではテクノロジー本位に陥りがちであることは否めません。
患者さんにどのようにタッチするか、その人生観や経験に裏打ちされた、患者さんの「いま」の思いをいかに聞き出し、どのよううに重んじるか。
臨床の医師や看護婦には、そうした心に迫るコミニュケーションが欠かせないと、私は長年にわたって強調してきました。
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