生きかた上手
「生きかた上手」日野原重明著
Ⅴ 治す医療から癒す医療へ
自分の限界を心得ている医師をさがそう
かかりつけ医は何科の医師でもかまいませんが、「どんな病気でも治せる」と豪語しえくれるようなてはばからない医師は避けたほうがいいでしょう。
むしろ、自分の限界をよく知っていて、専門外の病気については気持ちよく他の医師を紹介してくれるような医師が望ましいのです。
そんな医師なら、あなたのどんな病気にも相談に乗ってくれ、まちがいのない医療を提供してくれるはずです。
日本の医師は、国家試験さえ通れば、なかには卒後研修の経験も経ずに内科でも外科でも何科の看板を出してもよいことになっています。
たとえばレントゲンの機器があるというだけで、その専門技術にさほど通じていなくとも、レントゲン科と標榜して何らとがめられることはありません。
言い換えれば、看板に書かれた診療科目が多いからといって、その医師の能力が高いとは必ずしも言えない。
看板はあてにはならないのです。
子どもの病気については、小児科の勉強を修めた医師であるかどうかを確認すべきですが、おとなにとってのかかりつけ医は、何科を専門にしているかということよりも、自分の限界を謙虚にわきまえている医師であることのほうが重要です。