生き方上手
『人は話し方が9割』
1分で人を動かし、100%好かれる話し方のコツ
第1章 人生は「話し方」で9割決まる
07 「聞く力」のおかげでどん底から這い上がることができた
● 得意なはずの話し方で空回りばかりしていた私
今でこそ、こんなことを書かせていただいている私ですが、かつては私も保険営業マンの彼と似たような話し方をして、落とし穴にはまっていました。
以前の私はどちらかというと、コミュニケーションや話し方が得意なほうではありませんでした(自分では得意と思っていましたが)。
それは当然、人間関係にも影響していました。
私は26歳の時に、自分自身もどうなるかわからないという無謀な状況の中で、ビジネスをスタートさせました。
3坪の行商から始まった小さなたこ焼き屋でしたが、無事、創業当初の苦境を乗り越え、企業から2年経った頃には、より規模の大きな飲食店へと事業を拡大していました。
ただ、現実は約20人のスタッフを抱え、現場で悪戦苦闘の日々。
「いかに利益を出すか?」だけを考え、社内強化のために「報、連、相」の徹底や言葉遣いなど、表面的なところばかりを追いかけていました。
その結果、スタッフたちとうまくコミュニケーションが取れず、チームはどんどん衰退していくばかり。
スタッフたちと思うように心を通わせられず、自分の情熱が空回りしているように感じていました。
今思えば、私の話し方が原因だったことは間違いないでしょう。
ねぜなら、「なぜ俺の話を理解してくれないんだ?」と心の中でいつも周りばかりを責めていたからです。
人がどんどん離れていくにつれ、人づきあいの仕方を、根っこから変えなくてはいけないと痛感するようになりました。
いや、そう痛感せざるを得なかったのです。
● 「我」は話し方に表れていた
いま振り返ると、当時の私は言いたいことを言えないタイプというより、自分の言いたいことしか言わない、言いたくないタイプだったと思います。
いつも自分の話が中心で、誰かが話している時は、「いつ終わるかな」と自分の出番で話すことばかりを考えている。
口論大歓迎。相手を論破してなんぼのスタイル重視。
議論で負けそうになっても、自分の意見を力ずくで押し通す。
気に入らない人がいたら、自分の言い分を聞いてくれる人をつかまえてその相手を批判する…。
最悪です。
今、身近にそんな人がいたら、私はすぐに逃げ出します(笑)。
しかし、当時の私はそれが自分のスタイルで、正しいんだと信じ込んでいました。
いわば典型的な「我」の魂。そんな自分でした。
● 「聞き役」に回ると、急に業績が伸び始めた
たいしてお金もない。外に勉強に行くゆとりもない。そんな時、真っ先に変えたのが、自分自身の話し方のスタイルです。
「まず、聞こう」相手の反応や気持ちにも心を配りながら、「言葉を選んで話そう」そう決意しました。
もちろんすぐには根付きませんでしたが、トライ&エラーを繰り返しながら、少しずつ聞き方、言い方を変えていきました。
相手の話を聞く。笑顔で共感する…。
効果はてき面でした。
数か月も経たないうちに、社内の風通しが良くなり、業績がどんどん伸び始めていきました。
お店のスタッフは、格段に話の飲み込みが早くなり、自分で考えて、自ら動いてくれるようになりました。
何より嬉しかったのは、彼らとの間に一体感が生まれたことでした。
以前は「俺が俺が」と自分一人で突っ走っていたものが、明らかに「俺たちが」に社内の空気が変わりました。
それ以外にも、年上の有力者にかわいがられて、貴重な任脈につなげてもらえたり、不利と見えた交渉事がうまく運んだりと、糸井と勿ラッキーやメリットに恵まれるようになりました。
私の場合、運よく色々な先輩に出会え、「相手を理解することからすべては始まる。まずは相手の話をよく聞くこと」と何度も何度も教えていただけたおかげで、なんとかここまでたどり着くことができました。
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