第11章 スライト・エッジをマスターしよう P260
「望むということ」
夢や目標や願望を抱くことは、必ずしも楽しく快いとは限らない。
野心や願望や欲望は不快なこ ともあるし、苦痛なことさえある。
「want(訳注:望む)」こという言葉には 2つの意味がある。
1つは何かを欲しがっているということ、もう1つは何かが欠如しているという意味だ(余談だが、後者の意味が元々の意味で、前者よりもはるかに古い歴史を持つ)。
ある意味では、 2つの意味があるのではなく同じ1つの意味の2つの異なる側面を表しているとも言える。
人は自分に欠けているものを欲しがり、欲しがっているものは手に入らないという傾向があるからだ。
それゆえ夢を持つことは、時に苦しいものとなる。
欲しいのに今は手に入らないものに気づくというのは、望むというコインの両面のうち、欲しがっているという面だけでなく欠如しているという面をも経験することである。
つまり、自分に欠けているものを一層まざまざと意識するようになるのである。
自分の現状を冷静な目で見つめ、自己を偽るのは許されないということだ。
なりたい自分からかけ離れていることを自覚するのは不愉快なことだろう。
「それを手に入れたいという燃えるような願望」というナポレオン・ヒルの言葉は、誇張ではない。
燃える感覚というのは心地良 いものではない。
望むということには痛みが伴うのである。
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