第12章 自分に投資しよう P296
「思考のための1セント(すなわち1000万ドル)
あなたの頭の中には常に解説が流れている。
しかしおそらくほとんどの時間は、何を言っているのか意識することさえないだろう。
ときには頭の中からその解説があふれ出て、声に出して独り言を言うこともある。
けれども大部分の時間、それは頭の中で囁いている静かな声だ。
そしてそれはこの上なく強力な声なのだ。
ナポレオン・ヒルが自分の著そ書のタイトルを『手堅いビジネスでリッチになろう』とか『 正しいことをしてリッチになろう』とか『行動を起こしてリッ チになろう』などとしなかったのには理由がある。
むろん正しいことをしたり、行動を起こしたり、手堅いビジネスを築いたりするのはどれも良いことだ。
だが、ポイントはそこではないということをヒルは知っていた。
自というものが実際にはいかにしてもたらされるかを彼は知っていた。
それで『思考は現実化する』(訳注:原題は"Tnink and Grow Rich")というタイトルをつけたのである。
ジェ-ムス・アレンが自著に『「行動のパワー」がすべてをきめている』ではなく『「思いの パワー」がすべてを決めている』というタイトルをつけたのと同じ理由である。
自分自身の思考はスライト・エッジの最も強力な例の1つなのだ。
自分の思考は複利の力によっ て増殖する。
そして心に咲くホテイアオイのように、時間をかけて(しばしば予想していたよりもずっと短い時間で)心という池を覆い尽くすようになる。
ポジティブな思考についても同じことが言える。
そしてネガティブな思考についても全く同様だ。
前にも話したように、「願いごとには注意しなければいけない。本当に叶っ てしまうことがある から」ということ程度では済まないのである。
願う必要などありはしない。
ただ考えればそれでいいのだ。
なぜなら行動と時間が掛け合わされると、自分が考えたことは現実化するからだ。
自分の人生に最大の影響力を持つ人物とは、自分の思考の力を行使できる自分自身なのである。
言いかえれば、自分以上に自分の成功を蝕むものも、後押しするものも存在しないということだ。
自分自身に投資する目的はスキルを蓄積したり、特定の分野の知識を増やすことではない。
そういうことも大切ではあるが、主たる目的ではない。
自己投資の主たる目的は、どのように考えるか、何を考えるかを訓練することにある。