生きかた上手
孫子の兵法「最後に勝つ人」の絶対ルール
第二講:「作戦篇」
これからの時代を生き抜くための「武器」を持て
10 あなたは、何を武器に戦うか?
◎”セカンド能力”を持つ
これは世界戦略に限ったことではありませんが、私は常々、「”セカンド能力”こそが重要ですよ」と言っています。
どういうことか。
たとえば、知人から「娘は大学の英文科を出て、留学経験もあって、英語がとてもよくできる。外資系企業とか通訳・翻訳の事務所とか、英語能力で勝負する会社に就職したいって言うんです」という相談を受けたとき、私はこうアドバイスします。
「やめたほうがいい。そういう就職先にはイヤになるほど英語の達人がいますよ。英語の次に、娘さんが得意にしていることはなんですか?」
この「次に」というのが”セカンド能力”のこと。
彼女の場合はファッションに興味があって、よく勉強しているというので、「ファッション業界に入って、英語を使う」ことをお勧めしました。
そのほうが競争相手は少ないから、英語を使ってその業界のなかでポジションを上げていける可能性がずっと高いと思ったからです。
私だってそう。
ずっとビジネスのコンサルティングを仕事としていますが、それは”セカンド能力”一番得意とする”ファースト能力”は、中国古典思想に通じていることなのです。
つまり”セカンド能力”が発揮できる業界に入って、”ファースト能力”を駆使したことで、いまの私の仕事が成り立っているわけです。
こんなふうに”ファースト能力”と”セカンド能力”を逆転させることは、成功の秘訣の一つ。
ほとんどの人は”ファースト能力”で仕事をすることばかり考えているから、せっかくの能力が大勢の達人たちのなかに埋もれて、うまくいかないのです。
海外に出るときも同じ。
武器とする能力を一つに絞らず、もう一つの能力を用意しておいて、どちらをそう使うかを考えてみるといい。
基本は、”ファースト能力”をサブで使うこと。
自分にとっては”ファースト能力”であっても、その分野に競争相手が多ければ、勝負は避けるべきです。
もちろん、激戦を勝ち抜く自信があるなら、”ファースト能力”でぐいぐいいってください。
でも、その場合も「あの人は一流の証券アナリストだけど、落語好きで寄席の口演活動なんかもしてるらしいよ」とか、「あの人は世界トップの外交官だけど、ピアノがすごく上手なんだよ」というよな、ウリになる”セカンド能力”持っていたほうがいい。
自分の価値をいっそう高めることができます。
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