第6章 飛躍的進歩という言葉にだまされてはいけない P144
『勝つエッジ』
スライト・エッジは、あらゆる勝者が成功するために太古の昔から活用してきたプロセスだ。勝つためにはいつでもスライト・エッジが必要なのである。
夏のオリンピックで最も待ち望まれる競技の1つが男子競泳だ。2008年の北京五輪を迎えるにあたり、マイケル・フェルプスを巡る報道が過熱していた。というのは、マーク・スピッツが樹立した1大会で7個の金メダルという、36年間誰も破ることができなかった記録をフェルプスが破るかもしれないと期待されていたからだ。
最初の7個は割りと簡単に取ることができた。しかし8個目は、後世に語り継がれる劇的な物となった。
フェルプスが100分の1秒差でミロラド・チャビッチに競り勝ったことを時計が示したのだ。1秒どころか、1秒の1パーセントの差で。
そう、まさにスライト・エッジ(わずかな違い)だ。
だが、それこそフェルプスが8個目の金メダルを取り、オリンピック史上最高の選手という名声を手にするために必要だったものなのである。
#SlightEdge