『Live Happy』『スライト・エッジ』習慣を身に着けよう!

ポジティブ心理学の科学から出るパワフルな情報を、待ち望んでいる人々に届けるページです。

第7章 幸せの秘訣 P155

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『科学が幸せについて学んだこと』

ここで少し時間を割いて、ポジティブ心理学がどのように生まれたかについてお話ししたい。というのも、ポジティブ心理学というものそれ自体が、スライト・エッジが機能している素晴らしい例だからだ。

過去100余年のほとんどを通じて、近代の心理学研究は主として人々のうまく行っていない側面に焦点を合わせてきた。

情緒障害、精神障害、トラウマ、神経症、精神病、躁病、強迫観念、精神異常など呼び方はさまざまだが、主に人間の影の部分を研究の対象にしてきた。

人間のより気高い本能、より良き性質を作り上げているのはどのような習慣、活動、あるいは影響なのかということについては、驚くほど注目されてこなかった。

だがその状況は、21世紀初頭に変わった。

1990年後半、フィラデルフィア在住のマーティン・セリングマンという心理学者はこう考えた。

幸せとは、単に悲しみがないという以上のことなのだとしたら?人間のより気高い部分を研究することが、単に病気を治療すること以上の意味を持つとしたら?人間の否定的な部分ではなく、肯定的な部分に注目するような心理学があってもいいんじゃないか?

このアイディアをホテイアオイと呼ぼう。

リングマンはこのアイディアをある同僚に話し、2人はさらに数人の同僚に話した。その後この小さなグループは、国内で最も切れ者とされる若手研究者20数名に運動に加わるよう声をかけた。

そして彼らはこのアイディアを追求するための研究資金を集め始めた。6カ月後、セリングマンは全米から集まった数千人の心理学者が出席する会議で、このアイディアを発表した。

2000年代前半までには、数百万ドルの研究資金を投じて次々に新しい研究が行われ、国際的な協会や専門誌が作られ、全く新たな心理学の分野が誕生した。

2000年代中頃には、一般市民も心理学の新たな動きに注目するようになった。

2005年1月、『タイム』誌は、「幸せの科学」と題した特集記事を載せた。翌年、ハーバード大学のある教授がポジティブ心理学の講座を開設すると、855名の学生が受講し、ハーバード大学で最大の講座となった。メディアは熱狂し、この講座を「幸せ入門講座」と名づけた。学校制度、フォーチュン100社、そして米軍もみな、これに参加した。

各国政府はGNPやGDPに加えて、国家の健全性の指標としてGNH「国民総幸福」を測定することにしてはどうかという提案を行った。

2010年ザッポス社のCEOを務めているトニー・シェイが自身の事業の回願録、『顧客が熱狂するネット靴店 ザッポス伝説(アマゾンを震撼させたサービスはいかに生まれたか』(ダイヤモンド社)を出版すると、『ニューヨークタイムズ』紙のベストセラー・リストにいきなり1位で登場し、27週連続でリスト入りした。

ホテイアオイが池を覆い尽したのである。