第8章 波及効果 P182
『アンバー・オルソン・ローク:スライト・エッジと共に育って』
「スライト・エッジと共に育つというのは、どんな感じでしたか?」とよく聞かれるのですが、正直なところ、オルソン家で過ごした子供時代ほとんどの期間、私はそれを特に意識するようなことはありませんでした。単にそれは、うちの家族の生き方だと思っていました。
子供の頃、私はいつも、毎日努力し続けさえすれば、どんなことでも達成できると感じていました。
自分と同じ年頃の子供たちが大きな目標におじけづいて「そんなことできっこないよ、わざわざやってみることもないさ」と言うのを耳にしました。
物事をそんなふうに見たことが1度もなかったという点で、私は幸運だったと思います。
私は自分がやりたいと思うどんなことに対しても、気おくれしたという記憶はありません。なぜかと言うと、目標が大きすぎるなら小さく分解し、その小さな目標をこつこつと取り組めばいいだけだと知っていたからです。
あらゆることは可能だ、全力を傾ければなんだってできるという考えを持つことができるようになったのはそのおかげです。
俳優のウィル・スミスが自分の生い立ちを語るのを聞いたことがあります。彼が12歳だったある夏の日、彼の父親がレンガの壁を叩き壊し、ウィルと当時9歳だった弟に作り直すように言ったときのことを話していました。
「そんなの無理だよ」とウィルは言いました。
そして1年半かかって2人がそれを成し遂げたとき、父親は「お前たちにできないことがあるなんて、もう二度というなよ」と言ったのです。
「いきなり壁を作ろうと思って始めてはだめなんだ」大人になったウィルはそう説明していました。
「最初のれんがをできる限り完璧に置くところから始めて、それを毎日毎日繰り返す。すると間もなく壁ができあがるのさ」
彼がその言葉を口にすることはなかったけれど、彼が何の話をしているのか、私にはちゃんと分っていました。
それはスライト・エッジです。