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第2章 第一の要素 P36

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「まずは行動することだ。力は後からついてくる」ラルフ・ワルド・エマーソン『償いにつて』
経営していた太陽エネルギーの会社が倒産し、僕のいかした車がレッカー車に持って行かれたあの失意の夜の翌日から、僕の身に実際に起きた事について話そう。
資産も貯金も持たない僕には、再び新に事業を始めるための元手などなかった。できることといえば、誰か他人の下で働くことだけだった。そこで僕が選んだのは、半ズボン姿でゴルフコースの芝刈りをしていたゴージャス・ジョージなら夢にも思わなかった仕事だった。 
それは、セールスの仕事である。
読者に知っておいてほしいのは、僕がセールスの仕事を忌み嫌っていたということだ。その仕事に就いた当時は、最もしたくない仕事だと思っていた。
最初にテキサス・インスツルメンツ社に勤めたとき、僕はマネジメントの分野で自分の道を切り拓こうと考えていた。しかし、会社側の考えは違っていた。「マネジメントをやりたいなら、まずはセールスから始めてもらうよ」そう言われた。
僕はぞっとした。セールスのことなんて何一つ知らなかったし、考えるだけでも恐ろしかった。僕には生まれながらのセールスの才能など全然なかった。忍耐力もなかったし、生まれつき口先の上手い人間でもなかった。だが、会社がセールスをやれと言っている以上、そうするしかなかった。そのうち僕はセールスの仕事に慣れた。
すると皮肉なことに、僕の人生はセールスの仕事によって徐々に変わっていった。
ものを売るというプロセスそのものによってではなく、セールス関連の訓練によって変わったのである。
あらゆる種類の講座を受講し、ワークショップに参加し、セールスに関するトレーニング教材で学んだりしているうちに、大量の有益な情報に触れることができたからだ。
しかし、僕の人生を変えたのは情報そのものというわけでもなかった。
そうしたトレーニングや情報に欠けているものがあることに気づいたのは、皮肉にもかなり後になってからのことなのだけれども、僕の人生を変えたのは、そうした数々の貴重な情報よりもはるかに価値のあるものだった。
僕はそれを第一の要素と呼んでいる。
あの失意の夜の後、元手がなかった僕はある直販会社に勤めた。そのうちかなりの販売力をつけた僕は、2.3の事業を立ち上げて成功し、その中の1つではCEOに就任するまでになった。
そして、その経験に基づいてピープルズ・ネットワーク(TPN)という自己開発訓練の会社を始めた。この会社では、金融から人間関係に至るまで、あらゆる種類のテレビ番組を1000本近く制作し、当代最高の作家や思想家、オピニオンリーダーたちのうちの何人かと一緒に仕事をする機会にも恵まれた。
立場上、僕は自己啓発ムーブメントの震源地に居合わせることになり、自己啓発書作家たちの著作権代理人として知られるジャン・ミラー、自己啓発書の最大出版社サイモン&シュースターの当時CEOだったディック・スナイダー、音楽プロデューサーのジミー・ボーエン、オプラ・ウィンフリーといった伝説的な人物たちと一緒に時を過ごした。
僕たちはその間、成功のための最良の情報のいくつかを生みだし、どこにいても人々がそれを入手できるよう提供し続けた。
何千人もの人たちがそれを活用し、自分の人生をほんの少し、あるいは大いにより良きものにした。けれども、深い洞察力に満ちた非常に貴重なこうした情報も、多くの(とても多くの)人たちには、ほとんど、あるいはまったく効果がないように思われた。
それは不可能なことだった。
僕自身はそうした情報からとても多くのことを学んだし、得たものも非常に大きかった。
まさに人生を変えるような教えだった。
だが、その教えのすべてを熱心に吸収しようとしているにも関わらず、その恩恵をあまり得られないでいる人たちもたくさん目にしていた。
そんな経験をする中で、はっと気づいたことが1つある。それは偉大なる師たちが語る内容はすべて役に立つはずの情報なのに、実際のところ役立てられていないということだった。
人々は教えられたとおりにやってみようと努力するけれど、30日から60日あるいは90日ほど頑張ってみて、期待していたような大きな成果が出ないと努力を止めてしまうのが常だった。
どんなに多くの情報があり、その情報がどれほど優れたものであっても、それを消費する側が適切な触媒(情報の効果的活用を可能にする触媒)の働きをするものを持たなければ、成功を手にすることはできないのである。
それはこの世で最高の食べ物を食べていても、腸がそれを消化したり吸収したりできないのと同じだ。
驚くべき洞察に満ち、人々を成功へと導いた実績もある非常に的確で夢のような情報でも、それを消化吸収することができなければ、ただお腹の中を通り抜けて行くだけであって、せっかく食べても栄養にはならないし空腹も満たされない。
そんな例を僕は何百、何千と見てきた。
それは努力が足りないからでも、自分を変えたいという気持ちが足りないからでもない。
「どうしても変わりたいという気持ちがあれば、あなたは変わることができる」。そう言われたことがあるかもしれないけれど、実際にはそんなものではない。
心から変わりたいと願い、必死で努力しても、必ずしもそれだけで変わるものではない。
ほしいもの全てを手に入れようとして精魂尽きるまで頑張ったところで、第一の要素である触媒がなければ、その努力が実ることはないだろう。