第10章 人生の2つの道 P238
『過去と未来』
次の実験を試してみてほしい。
楽な姿勢で座り、目線を床に落とす。
その姿勢のままで自分の人生について5分間考える。
自分にとって大切なあらゆること、自分の人生について考えてみるのである。
今すぐにやってみよう。
少し休憩を取って雑念を払ったら後半に入ろう。
さきほどと同じ楽な姿勢で座り、今度は頭をうしろに反らせて天井を見つめる。
そこから5分間、自分の人生について考えてみよう。
自分にとって大切なあらゆること、自分の人生について考えてみるのである。
今すぐにやってみよう。
どんなことがあなたの頭に浮かんだかは僕には分からないけれど、大部分の人は次のようなことを発見する。
下を向いていると、過去のことを考えないようにするのは難しい。
反対に上を向いていると、未来のことを考えないようにするのは難しい。
失敗曲線上にいる人は、自分の考えを過去のことに集中しがちだ。
その結果、気持ちは下向きになる。
成功曲線上にいる人は、自分の考えを未来のことに集中しがちだ。
その結果、お察しのとおり気持ちは上向きになる。
成功曲線上にいる人々が過去を無視しているわけではなく、彼らは未来を築くための数多くのツールの1つとして過去を利用するのだ。
それに対して失敗曲線上にいる人々は、過去を武器として(自分自身や周囲の人々を攻撃する武器として)使う。
その結果、後悔、逆襲、良心の呵責、報復に苦しめられることになる。
大部分の人は過去に片足を突っ込んだまま、「状況さえ違っていたら、自分だって成功していたのに」と言っているように見える。
そしてもう片方の足は未来に突っこんで「ああなれば、そしてこうなれば、自分は成功して幸せになれるだろう」などと言うのである。
現在のことは完全に無視しているのだが、今このとき以外のどこに自分の生きる場所があるというのだろう。
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