第4章 ありきたりなことをきちんとやる P88
『5パーセントの人たちがしている事』
成功を期待し、願っているのは誰だって同じだ。それに、誰だっ て成功に値するはずだ。
5パーセントの人たちだけが成功し、95パーセントは成功しない。
それはなぜなのだろう?
1つだけ違いがある。
それはスライト・エッジだ。
5パーセントの人たちはみな、スライト・エッジの力を理解していて、それが人生に良くも悪く も作用することを知っている。
彼らはそれをスライト・エッジという言葉では表現しないかもしれ ない。
自分の行いがある種の「哲学」に導かれていることにすら、彼らは気づいていないのかもしれない。
だが、彼らの行いはまさしくスライト・エッジという哲学に導かれているのである。
1つ例を挙げよう。スティーヴという名前の10代の若者だ。
高校生になった初日、スティーヴは同級生全員と一緒に最初の集会のため、1列になって講堂に入って行った。
ぎっしりと並べられた座席の真ん中辺りの列に腰を下ろし、明るく照らされたステージを見上げていたとき、パフォーマーになりたいという抑えがたい願望がスティ―ヴの中に湧き上がってきた。
しかし、問題が1つあった。スティーヴは歌も歌えないし 、ダンスもお芝居もできなかったのである。
その後一流パフォーマーとなった彼は、当時を振り返りって「ありがたいことに、才能はなくても辛抱強くやれば何とかなるものだね」と語っている。
自分には特別なスキルもパフォーマーとしての才能もあるようには思えなかったし、ステージに立つことも全然得意ではなかったけれど、スティーヴはともかくやってみることにした。
来る日も来る日も、何時間もかけて手品の練習に励み、独学でバンジョーの演奏を学び、耳を傾けてくれそうな人を(そうでない人も、少なからず含まれていたけれども)捕まえてはセリフ回しの反応を試し、聴衆を前にしたときにひねりの効いた彼のユーモアが多少なりとも受けるよう工夫を重ねた。
(少なくとも初めのうちは)本当にものになるという根拠などほとんどないまま、彼はそれを何年間も続けた。
そして15年後、スティーヴ・マーテインはお笑い史上、最も聴衆を引きつけるピン芸人となった。
10代でスタートしたときには、まったくスキルのない若者だったかもしれない。
しかしスティーヴは、スライト・エッジを味方につけたのである。
誠実だが不器用な彼の努力は、スライト・ エッジのおかげで驚異的な興行成績という実を結んだ。
複利という驚くべきパワーの背後には、スライト・ エッジの力がある。
繊細なホテイアオイが池を覆い尽くすことができたのも、死に物狂いで泳ぎ続けたカエルの兄が生還できたのも、裕福な男の長男が1セントを1000万ドルに増やすことができたのも、スライト ・エッジの力だ。
スライト・エッジは、絶え間なく打ちつけて堅固な岩をも滑らかに磨きあげる水滴のようなものである。
何を追い求めていようと、人生で何を創造したいと思っていようと、どのような人生を生きたいと切に望んでいようと、スライト・エッジがあれば実現できる。
スライト・エッジがあるかどうか。
それが5パーセントの人たちと残り95パーセントの人たちの違いである。
5パーセントの人たちは、人生に望むものを手に入れるためにスライト・エッジをどう使えばいいのかを知っている。
いや、この言い方は正確ではない。
彼らはスライト・エい方を知っているだけでなく、実践しているのだ。
実践してパワーを得ているのである。
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