第10章 人生の2つの道 P224
THE SLlGHT EDGE
「私か選んだのは、あまり人が通らないほうの道だった。そしてそのことによって、私の人生は刺激的で面白いものになった」ロバー卜・フロスト『選ばれざる道』
目覚まし時計がけたたましく鳴り始める。
時刻は午前6時。
無意識のうちに手が伸びて、スヌーズボタンを押す。
これであ10分眠れる。
しばらくして布団の外へそろそろと片足を出してみる。
うう、寒い。
片目を薄く聞けてみる。
外はまだ真っ暗だ。
ここであなたは1つの選択を迫られる。
1つ目の選択肢は、ベッドから起き上がって部屋の明りを点け、無理矢理にでも頭のギアを入れてしまうことだ。
そしてまだぼんやりしている脳みそを突っついて、ありがたいと思うことを3つ 新たに探し出し、手早く書き留める。
それから、くたびれた脚やおしり、背中に気合を入れてなんとかベッドから抜け出すと、毎日やると決めた腹筋運動を20回。
そういえば今日は土曜日だが、「毎日」には土曜日も含まれるのだろうか?
あくびをしながらあなたはそんなことを考える。
もう1つの選択肢は、もう一度布団にもぐり込んでもうしばらく惰眠をむさぼることだ。
いや、 それではあまりにもぐうたら過ぎる。
それなら代わりに、テレビのニュース番組を見ることにしようか。
例の興味をそそる政治スキャンダルがその後どうなったのか見てみたいし、今週起こった殺人事件の犯人が捕まったのかどうかも気になる。
そこであなたはテレビのリモコンに手をのばす。
さであなたは今、自分が何をしたのかお分かりだろうか?
あなたはたった今、自分の人生が進 む方向を決めたのだ。
「そんな!」あなたは抗議の声をあげるだろう。
「ちょっと待ってくれよ! 今日は土曜日じゃない か。土曜の朝にほんの数分間のんびりしたってかまゃしないだろう? そんなことで人生が変わるなんてことがあるとは思えないね」
ところがあるのだ。
偉大さは常に、決断の瞬間に存在する。
運命についても、同じことが言える。
例の富豪が息子たちに授けたもの、つまりスライト・エッジに気づくという知恵は、背後でオ ーケストラが最高潮に達するような大げさでドラマチックな瞬間ではなく、日々のありきたりなちょっとした選択を行うときに姿を現す。
人生の進む方向を決めるのは、そのような個人的で他の人 が誰も見ていないような日常的瞬間なのである。
あなたの人生が最終的にどうなるかを決めるのは、あなたが善良な人間であるかないかとか、あなたにそれだけの価値があるかどうかといったことではないし、カルマでもなければ境遇でもない。
それはあなたの選択、なかでも小さな選択によって決まるのだ。
そんなふうに思えないことは分かっている。
これから1時間をどう過ごすかを選ぼうとしているだけで、今後40年間をどう過ごすかという話ではないのに。
あなたはそんなふうに思うかもしれない。
ところが実際にはこれからの40年をどう過ごすかを決めているのである。
そのことを理解するのが難しいのは、自分が取った行動というものは直線を描いて動くように見 えるからだ。
感謝すべきことを3つ書き出すか、あと10分惰眠をむさぼるか。
腕立て伏せを20回やるか、テレビをつけて気が滅入るようなニュースを見るか。
どちらを選んでも、たどり着くのは10分後という世界。
そう思うことだろう。
だが実際はそうではない。
どちらを選ぶかによって到達する地点は違うのだ。
なぜなら人の行動は直線の形では進まないからだ。
行動は直線ではなく、曲娘を描くのである。
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