生きかた上手
『伝え方が9割』
第2章 「ノー」を「イエス」に変える技術
「イエス」に変える切り口:5
「あなた限定」
こちらは、ステップ2で相手が「寂しがりや」とか「自分が好き」というときに効果を発揮します。
もともと人は「あなた限定」に弱いです。
何十万円もするツボとか買ってしまう人がいるほど弱いです(笑)。
使うときには、良心のもとに使っていただきたい技術です。
皮肉のようですが、「あなた限定」からつくるこの技術が効くのは、実は、沢山の人数にお願いするときです。
例えば、誰も行きたくない自治会のミーティングに誘うときの伝え方。
「自治体のミーティングに来てください」→あなたのメリットでしかない。
「他の人が来なくても、斉藤さんだけは来てほしいんです」→その人の名を使い「私こそが必要と思ってくれている」と思わせ、心を満たすことで相手のメリットに変える。
大人気のベトナム料理店がありました。
市街地から離れていて車でしか行けない場所にあるのに、人はタクシーに乗ってまでも行くのです。
私も友人にすすめられてその店に行きました。
狭い店内はその日も大混雑でした。
確かに味はいいのですが、驚くほどではありません。
大人気の秘密はなんだろうと思っていたところ、食事の最後に店主が出てきてこう言ったのです。
「はじめて来たあなただけ、特別なデザートに変更します。貴重なフルーツで、この店にあるのはこれが最後の1つです」そしてあまり見たことにない、リッチな感じのするフルーツをテーブルの上に置きました。
私は、とっても感動しました。
もともとコースについていたパイナップルに代えて、特別なデザートを用意してくれていたのです。
店主は、「あなた限定」を見事につかっていました。
私は瞬時にしてこの店のファンとなりました。
実はこの話には、そのあとがあります。
感動しながらその特別なフルーツを食べていたところ、ちょっとして隣のテーブルにも「お店の最後の1つ」だったはずの特別なフルーツが運ばれてきたのです。
あれ?と思いました。
見せを出る前にちらり厨房を覗いたわたしは驚きました。
「お店の最後の1つ」のはずのフルーツが山積みされていたのです。
その大繁盛店の店主は、すべての人に「あなた限定」と使っていたのです。