第11章 スライト・エッジをマスターしよう P261
「ギャップを埋める」
張力は不快なものである。
あり得ベき世界の姿について聞かされると、時として居心地の悪さを感じるのはそのせいだ。
キング牧師のかの有名な演説「私には夢がある」が世界にこのうえなく強烈なインパクトを与え、僕たちの文化の記憶にこんなにも鮮明に刻まれたのは、あの演説が1963年8月の世界を非常に居心地の悪い場所にしたからだ。
ジョン・レノンは自作の曲「イマジン」の中で、もっと調和のとれた世界というビジョンを描いた。
それから10年と経たないうちに、彼は銃弾に倒れた。
ガンジーやイエス・キリスト、ソクラテスを始め、現状を良くしようと語りかける人たちに対して僕たちの世界はつらく当たることがある。
それはビジョンや、明雌なビジョンを持つ人というものが、人々に居心地の思い思いをさせるからなのだ。
もちろんこれらはとりわけ劇的な例であるが、同じ原理は名前を聞いたこともない人々の個人的な夢や目標にも当てはまる。
あなたや僕も含めて、あらゆる人に当てはまる。
仮にあなたに何年も前から交際を断っているきょうだいや古い友人がいるとしよう。
もっと良い関係を持てたらいいのに、もっと頻繁に話をしたり、もっと私的な経験や会話を共有したりできたらいいのにとあなたは思っている。
現状と理想の状態との聞に、ギャップがあるのだ。
このギャップを感じることができるだろうか?
あるいは仮にあなたは働き者でなかなか良い収入を得ているのだが、しっかりとした退職金制度がないため、70代になったときに快適に暮らしていけるかどうか不安を感じているとしよう。
72歳のときにはこんなふうに暮らしていたいという願望が一方にあり、このままいくと72歳のときにはこんな暮らしをすることになるかもしれないという不安がもう一方にある。
両者の問にはギャップが存在する。
このギャップを感じることができるだろうか?
あなたには健康や体調に関する目標があるだろうか?
キャリアに関する目標はどうだろう?
子供たちのための目標はどうだろう?
どこか他の土地で暮らすとか、何か別の仕事をしたいという夢はあるだろうか?
あなたが持っているこれらのイメージの1つ1つ が(現状はそうではないけれど、そんなふうにもなれるかもしれないというイメージの1つ1つ が)あなたの今の現実とのギャップを生む。
ほとんどの人は、すでに対処している問題よりも大きな問題や別の種類の問題に直面すると、たちまち打ちのめされたり調子がおかしくなったりする。
より大きな問題や種類の違う問題を否定的に捉えて、自分自身の人生まで否定してしまいがちになる。
彼らは人としての器の大きさは、問題の大きさで決まるという哲学を体得していないのだ。
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