生き方上手
孫子の兵法「最後に勝つ人」の絶対ルール
第五講:「勢篇」
結局、一番強いのは「勢いに乗っている人」
29 整理整頓能力のある人は「頭が切れる」
凡そ衆を治むること寡を治むるが如くするは、分数是なり。衆を闘わすこと寡を闘わすが如くするは、形名是なり。
多くの仕事を抱えて、「あれもやらなきゃ、これもやらなきゃ」と忙しくしている人をよく見かけます。
そういう人は、孫子に言わせれば「整理整頓能力のない人」。
ここで孫子は「大軍をきちんと組織立てて、小部隊のように統制しなさい」と言っています。
これを仕事に置き換えて考えれば、「どんなにたくさんの仕事がきても、それらを整理・分類して同じような種類の仕事をまとめて行うようにすれば、効率はぐんと上がるよ。それが仕事のできる人だよ」というふうに受け取れます。
くる仕事に片っ端から取りかかる。
あるいは一つの仕事にちょっと手をつけては次、その仕事にまたちょっと手をつけては次、といった具合に進めていく。
そんなふううだと、時間がかかってしょうがない。
頭のなかもぐちゃぐちゃでしょう。
それで「忙しい」と言っているのだとしたら、その人は整理整頓能力が欠如しているのです。
逆に、仕事を整理整頓して効率的に進めることができる人は、頭のなかもすっきりしていて、いわゆる「切れる人」です。
江戸時代の幼年教育では、「灑掃(さいそう)」、つまり清掃を徹底的に学ばせました。
なぜなら子どもたちが長じてリーダーになったとき、矢のように降ってくる大事・難事を整理整頓してさばいていく能力が求められるから。
リーダー養成の一つのトレーニングとして、整理整頓能力を身につけさせたわけです。
これは現代のビジネスマンにも通じる教えでしょう。
幼いころにそういう教育を受けてこなかった人は、いまからでも遅くない。
整理整頓能力を磨いてください。
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生き方上手
孫子の兵法「最後に勝つ人」の絶対ルール
第四講:「形篇」
思い通りにならない状況をいかに突破するか
28 「現場に」は必ず「一番乗り」せよ
勝兵は先ず勝ちて、而る後に戦いを求め、敗兵は先ず戦て、而る後に勝ちを求む。
交渉事でも何でも、すでにうまくいったも同然という状況をつくり出してからい臨むのが順序である。「当たって砕けろ」的な行動では、何ごともうまくいかない。一番乗りで現場に入って、うまくいくシュミレーションをしておきなさい。
このくだりを講義するとき、私はいつも「勝ってから戦うのが順序だと、孫子は言っています」と言います。
たいていの人はポカンとしますね。
「戦った後でないと、勝つか負けるかわからないじゃないか」と思うからでしょう。
でも、ここまで読んできたみなさんは、もう孫子の言いたいことがわかりますね?
そう、「絶対に負けない準備をして、勝ちを確信してから戦いなさい」ということです。
をれを交渉事やプレゼンテーションなどに置き換えて考えると、「双方が対峙した瞬間に、相手が気を呑まれてしまうように仕向けなさい」というふうに読めます。
そのためにどうするか。
一番簡単で大事なのは、その場に集まる誰よりもうんと早く現場もしくは現場周辺に入り、うまくいくシュミレーションを十分にしたうえで、ことに臨むことです。
私も講演のときなどは、必ず会場に一時間半前に到着するようにしています。
周辺を散歩しながら気持ちを落ち着け、話をどう進めていくかリアルにイメージしながら周到に準備を重ねるのです。
そして何食わぬ顔をして、十五分くらい前に会場へ入り。
そのときには、もう誰の目にも私は余裕しゃくしゃく、自信満々に映るはずです。
打ち合わせや交渉事のときも同じ。
必ず一番乗りをするようにしています。
相手が遅れて来ようものなら、「しめしめ、勝負あったな」と喜ぶくらいです。
相手はこちらと顔を合わせた瞬間から、遅刻を謝ってばかり。
こちらは事を有利に進められます。
みなさんも相手がある仕事のときはとくに、ゆめゆめ時間ギリギリに現場に滑り込むようなことをしてはいけませんよ。
自分で自分を追い詰めるようなものですから。
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第四講:「形篇」
思い通りにならない状況をいかに突破するか
27 「できて当たり前」がプロの仕事
古の所謂善く戦う者は、勝ち易きに勝つ者なり。
「いや、がんばりましたね」などと周囲から褒められるようでは大した人物ではない。どんな難しいことも、当たり前のようにやってのけるのが達人なのである。
メジャーで活躍するイチローは、どんなヒット性の当たりも凡フライにしてしまうところがあります。
バッターの打つ球がどこへ飛んでくるかを正確に予測し、楽にとれるところに守備位置をずらしているんです。
だから、拍手もない。
そんなときのイチローは内心大喜びでしょう。
プロなら取れて当たり前、というところに勝負の醍醐味を感じるからです。
逆に、読み違いがあると、ダイビングキャッチなどをしなければならなくなります。
それを捕れたらファインプレー。
観客は大喜びしますが、イチローは恥ずかしくてしょうがないそうです。
「すんでのところで捕れた」という状況をつくってしまった自分が許せないのでしょう。
つまり、どんなに難しいことでも楽々こなしているように見えるのが達人。
周囲に「よくがんばったね」と褒められるようではまだまだ青い。
褒められたら恥と思うくらいでないと、とても人生の勝利者にはなれません。
その意味では、自分から周囲に「大変だったんだよ」「すごくがんばったんだよ」などと吹聴するなんて、もってのほか。
自らの未熟さを喧伝しているようなものです。
孫子はこのくだりで、「髪の毛を一本持ちあげたからといって力持ちとは言わないでしょう?」「太陽や月が見えるからといって目がきくとは言わないでしょう?」「雷の音が聞こえたからといって耳がいいとは言わないでしょう?」といったおもしろい表現を用いています。
誰もが当たり前にできることと、戦争に勝つことを同列に捉えて、戦上手はかくありなんと説いているのです。
みなさんも、もし人から褒められたら、「自分はまだまだだな。恥ずかしいな」と思ってください。
さらなる成長はそこから始まるのです。
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第四講:「形篇」
思い通りにならない状況をいかに突破するか
26 最後に勝つ人の「感情の整理法」
能く自ら保ちて、勝ちを全うす。
競い合いや争いごとでは、冷静さを欠いたほうが負ける。自分自身を常に冷静に保つことが勝ちを呼び込むのだ。
勝負事や賭け事、争いごとなどでは、つい頭にカーッと血が上って負けてしまうことがあります。
あるいは勝ち負けに関係のない場面でも、感情的になったために判断を誤ったとか、後々イヤな思いをひきずったとか、そんな経験は誰しもお持ちでしょう。
その経験から、感情的になっていいことは何もないと、たいていの人が頭ではわかっている。
でも「感情をうまくコントロールできない」ことに悩んでいる。
それが現実でしょう。
孫子はここで、「守るときは敵の目をくらまして姿を隠し、攻めるときは高所対局から物事を見定めて起動するのがよい。そういう攻守の姿勢をとるには、常に冷静沈着であることが求められる」としています。
ただ「どうすれば冷静さを保てるか」までは言及していません。
そこを補っておくと、私自身は感情をコントロールするために、ちょっとしたトレーニングを行いました。
その方法を紹介します。
たとえば、怒りの感情がわいたとき。
最初はそれを制御せずに気がすむまで猛烈に怒りまくります。
その怒りが一週間でおさまったとしたら、次に怒りの感情がわいたときは「よし、四日間だけ怒ろう」というふうに決めます。
そうして段階的に、感情をひきずる期間を短縮化していくのです。
最終的にそれが一日になり、三時間になり、一時間になると、もう大丈夫。
どんなに頭にくることがあっても、その場で感情をおさめられるようになります。
人間だから喜怒哀楽があって当たり前。
あっていいんです。
困るのはそれが長引くこと。
負の感情ばかりでなく喜びの感情だって、長引けば有頂天状態が続いて、」良いとは言えません。
だからトレーニングによって、できるだけ短時間で平常心に戻れるようにする。
それが喜怒哀楽を超越して冷静さを保つことにつながるのです。
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第四講:「形篇」
思い通りにならない状況をいかに突破するか
25 好機が来るのを焦らずに待つ
勝つ可からざるとは守るなり。勝つ可しとは攻むるなり。
「負けない自分」をつくったら、あとは「果報は寝て待て」。焦らず静かに時期を待ち、相手の隙をついて攻めれば勝てる。
よく「攻撃は最大の防御なり」と言われます。
一面で真実を言い当てていますが、その前に「防御は最大の攻撃なり」ということを考えなくてはいけません。
たとえば野球などのスポーツでも、鉄壁の守備態勢を敷いていると、まず点を取られることはありません。
少なくとも失点を最小限に抑えることができます。
ここをおろそかにすると、いくら攻撃して大量の点を得ても、それ以上の失点をしてしまう可能性があります。
人間は勝ちを焦ると、攻撃のことばかり考えてしまう。
孫子はそこに着目し、まず、守りを固めることが肝心だと言っています。
これは前項で言えば「負けない自分」「負けない人生」をつくることに相当します。
でも攻撃しなければ、勝てません。
ならは、どうするのか。
十分に負けない備えをしたうえで、焦らずに静かに相手が隙を見せるのを、あるいはライバルたちが次々と自滅していくのを待つのです。
寝ていればいいのでも、遊び呆けていればいいのでもなく、いつでも攻めていけるように緊張感をもって待つのがポイントです。
わかりやすい話として、古い戦略に出てくる「泥魚の話」を紹介しましょう。
日照りが続くと、川や池は干上がりますね。
魚たちはみんな、水や餌のあるところを求めて右往左往します。
でも、泥魚は泥のなかに潜り込んで、じーっとしています。
そうして水分を補給しながらエネルギーを溜めこんでいるのです。
長くても二十日も経てば、雨が降ります。
しかし、そのときまでには、魚の大半は消耗が激しく干からびて死んでしまいます。
生き延びた泥魚だけが、ライバルのいなくなった川や池で、悠々と餌を独り占めにするのです。
「守りを固めて勝機を待つ」とはそういうことなのです。
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第四講:「形篇」
思い通りにならない状況をいかに突破するか
24 「負けない自分」のつくり方
勝ちは知る可くして、為す可からず。
相手は自分の思い通りに動いてはくれない。そんな「できないこと」を想定して戦略を立てても勝ちはおぼつかない。それよりも「負けない自分」をつくることを考えよ。自分でコントロールできるのは自分自身だけなのだから。
相手の動きを予測することは大切。しかし、限界があります。
相手が自分の思い通りに動くようにコントロールすることはできないからです。
ところが負ける人というのはたいてい、自分の都合のいいように相手が動いてくれるものとして、策を練っているものです。
それで思い通りにならず、「そう出るとは思わなかった」と打つ手がなくなってしまうのです。
つまり、自分がコントロールしようとした相手に、逆にコントロールされてしまうというわけ。
人間関係もこれと同じ。
悩みもめ事の大半は、相手が思い通りに動いてくれないことに起因します。
「どうしてそんなことをするんだ」
「ふつうはこう考えるだろう。こうするだろう」というふうに考えて、自分の描いたシナリオ通りに事が運ばないことにイライラ・モヤモヤを募らせてしまうわけです。
自分にはコントロール不能なそんなことにエネルギーをかけるよりも、もっと大事なことがあります。
それはコントロール可能な唯一の存在である自分自身を動かして、「負けない自分」「負けに人生」をつくること。
それなら、自分の思い通りにできます。
とはいえ「どうすれば、そんなことができるんだ」という声が聞こえてきそうです。
その答えの一つは、前にお話しした「五事七計」にあります。
あれを徹底してやって、自分を強化していけば、必ず「負けない自分」がつくれるし、「負けない人生」を歩むことができます。
それはそれとして、ここでは一つ、私が実践してきた「後退のない人生」のつくり方についてお話ししましょう。
「負けない自分」とは言い換えれば、「いまよりダメにならない自分」であり、同様に「負けない人生」とは「いまの状態より悪くならない人生」。
そう考えて、いまの自分・いまの人生を「どん底」と決めるのです。
たとえば年収がいまな三百万円で、そこが「どん底」だとすると、それ以上はもう落ちようがない。
だから上に上がるしかなくなるんです。
そうやって「どん底」の年収を決めると、それが四百万円になり、六百万円になり、一千万円になりという具合に、自動的に年収を上げていくことができます。
なぜなら、年収を上げるためにはどうすればいいかを考え、行動するようになるからです。
そこに他力を頼らず、「自分でのし上がっていって、最終的には勝つ」ために戦略と行動力が生まれるわけです。
同じように仕事の成果や内容、地位、人格、人脈、信用度など、さまざまな項目にわたって「どん底」を設定すると、必ずや総合力が上がってきます。
そんなにうまくいくわけがないと思いますか?
これがうまくいくんです。
私自身、若いころは言ってみれば「後退ばかりの人生」でした。
最初はミュージシャンになって、一流と評価されるところまでいったのに、指をケガして挫折。
その後、前述したように映画の仕事をして、ロケで瀕死の重傷を負って、此れも挫折。
九死に一生を得てやっと立ち直り、コンサルティング会社を立ち上げたものの、しばらくは”開店休業”状態。
もちろん、いいときもありましたが、総じて若いときはうまくいかないことの連続だったんです。
それで、あるとき「どうして後退するのか」と悩んで悩んで、ようやく気づいたのです、まだ下があると思っているから落ちるんだと。
上り詰めたら、下るしかない。
どん底に落ちたら、上がっていくしかない。
そういう単純な図式のなかで自分自身を、人生を捉えてみる。
そして常に「いまがどん底だ」と考える。
そうすると「負けない自分」「負けに人生」をつくって、上昇気流に乗っていくことができるのです。
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生き方上手
孫子の兵法「最後に勝つ人」の絶対ルール
第三講:「謀攻篇」
「戦わずして勝つ」これが「孫子」の鉄則
23 過大評価も、過小評価もしない
彼を知り己を知れば、百戦して殆からず。
相手と自分、双方の能力を客観的に、正確に評価できれば、戦略の精度が高まる。とりわけ自分の能力評価は厳しくすることが望ましい。
人は誰しも、「他人に厳しく、自分に甘い」もの。
それは能力評価においては、他人を過小評価し、自分を過大評価することにつながります。
そうしたい気持ちはわかりますが、ここを改めない限り、競争に勝ち抜くことはできません。
だから、身につけるべき考えはまったく逆。
「他人に甘く、自分に厳しい」ことが求められます。
認めたくないかもしれないけれど、相手の強みをきちんと認識する。
それも実力以上に評価する。
そうすることによって、こちらは十分な備えができます。
もっと難しいのは「自分に厳しく」すること。
誰しも自分のダメなところは認めたくないので、つい評価を甘くしてしまいがちです。
たとえば客観的に見て自分の短所・弱点がわかっているのに「相手に比べて、劣っているというほどのものでもない」と気にしないようにしたり、主観的にしか自分を見られなくて半ば本気で「俺は優秀だ。誰にも負けない」と思いこんだり。
そんなふうだと、どうしてもわきが甘くなり、相手に付け入る隙を与えてしまいます。
自分の能力を厳しく評価するということは、弱点をいかにして相手に見せないか、あるいは弱点をどう強みでカバーするかを考えることにつながるのです。
それによって、「式のない強い人間」になれます。
「相手に甘く、自分に厳しい」能力評価をすれば百戦百勝が現実的なものになる。
でも、厳しく自己評価するのはいいけれど、相手のことも厳しく過小評価するようだと、勝ち負けは五分五分。
相手を厳しく過小評価して、自分に甘く過大評価してしまうと、まず勝ちは望めない。
孫子のあまりにも有名なこの言葉をこんなふうに理解すると、客観的にして正確な能力比較に基づく精度の高い戦略が立てられることでしょう。
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