『Live Happy』『スライト・エッジ』習慣を身に着けよう!

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第4章 ありきたりの事をきちんとやる P83

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『一日1個のリンゴを食べれば医者はいらない』
一緒に座っていたほんの数分のうちに、靴磨きの女性と彼女の人生についてかなりの事が分かった。
彼女は自分の家族を大切にしていて、人好きな性格だ。誰とでもすぐに友達になれるし、外交的で弁も立つ。つまり、生まれつきコミュケーションの才能があるのだ。それに働き者でもあって、自分の仕事を楽しんでいるのが見て取れた。
椅子に腰かけ、靴をピカピカに磨いてもらいながら彼女との生き生きした会話を楽しんでいると、僕は「もし...だったなら」と考えずにはいられなかった。
僕は彼女が夢中で読んでいた本の題名に気づいていた。それは人気の高いロマンス小説だった。
仕事の空き時間に架空の人物の人生を束の間楽しんで、退屈な時間をやり過ごすことができるよう人々が持ち歩く類の本である。
スタンドの壁際には、読み古したロマンス小説が何冊も積み上げられていた。彼女がとても読書好きであることは間違いない。
もし彼女がそれまでの5年間、客待ちの15分か20分という細切れの時間に、読後すぐに忘れてしまうようなロマンス小説の世界に浸かるのではなく、本当に人生を変えるような本を読んでいたとしたら?
積み上げられた本の中に、ナポレオン・ヒルの『思考は現実化する』(きこ書房)やスティーブ・コーヴィーの『7つの習慣:人格主義の回復』(キングベアー出版)やマーティン・セリグマンの『世界でひとつだけの幸せ:ポジティブ心理学が教えてくれる満ち足りた人生』(アスペクト)が含まれていたとしたら?
僕はそう考えずにはいられなかった。
読む本の種類というちょっとした事を5年前に変えていたなら、彼女の人生は今頃どうなっているだろう?
今でもチップを貰って靴を磨いているだろうか?
それとも靴磨きのチェーン店の経営者にでもなっているだろうか?
安月給だとか、誰にでもできる仕事だとか、僕がそんなふうに批判しようと思っているわけではないことをどうか分かってほしい。
収入の少ない仕事に就いても、豊かな人間関係と喜びに満ちた人生を送っている人たちも僕は知っているし、ものすごい大金持ちなのに非常に不幸な人たちも知っている。
それに僕は通俗小説をつまらないものだと言っているのでもない。
ただ、その靴磨きの女性が自分の娘を何より大切に思っていて、才能ある娘が望んでいるものを与えてやる能力が自分にはないと悲しんでいることは明らかだった。
また彼女にはそれを、いやそれよりはるかに多くのことを娘にしてやれるだけの収入を得られる才能も、人間性も、スキルもあることも明白だった。
それなのに、何か欠けていた。
その何かというのは、良い本を1日10ページ読むことで埋められるような簡単なものなのか?
そんな小さな、一見みるに足らないような事で、誰かの人生の軌道がすっかり変わってしまうなんてことがあり得るのだろうか?
答えは断固イエスである。
間違いないと断言できる。