『Live Happy』『スライト・エッジ』習慣を身に着けよう!

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第5章 急がば回れ P116


『時間の目で見る』
スライト・エッジのイメージとしてふさわしいものがもう1つある。それは目隠しをされた正義の女神像だ。
正義を表す天秤と剣を手にした女神の像自体は古代ローマ時代からあったが、当時は目隠しはしていなかった。
目隠しが付け加えられたのはルネッサンス期、のちに今日の議会制民主主義や普遍的人権という概念を生むこととなる思想が起こった16世紀のことだ。
目隠しがつけられているのは、正義は「盲目」であるという、人々が思っているような意味合いからではない。
真の正義は外部からの影響に左右されないという意味なのである。
スライト・エッジの哲学に対する態度も、このようにありたいものだ。
夢に見る人生を実現するためにスライト・エッジを理解して活用したいと思うなら、自分の目に映る証拠に基づいて日々の選択をしなければならない。
日々の選択は、自分が知っていることに基づいて行う必要がある。つまり時間の目を通して見なければならないのだ。
成功と失敗というものを、正義の女神が手にしている天秤の左右の皿だと考えてみてほしい。
例えば今あなたは人生の困難な局面にあるとしよう。
天秤はマイナス側の皿がぐんと下がり、ひどく傾いている。健康、お金、結婚生活、仕事、問題は何であれ、ちょっとした判断ミスが長い年月積み重なり、その結果を実感する地点に達してしまったのである。
どうにかして何か劇的なことができれば本当にいいのだが。
次の朝目が覚めると、すべてが逆転していたなら。
指をパチンと鳴らしてすべてを変えることができるなら。
映画の中ならば、そんなことも起こるかもしれない。だが、これはあなたの人生だ。
あなたにできることは何だろう?
ちょっとしたプラスの行動を1つ、成功側の皿に加えたらどうなるだろう?
目に見えることは何も起こらない。
そこでもう1つ、さらにもう1つと加え続けたならどうなるだろう?
やがて天秤がほんの少しだけ動くのが見えるだろう。
そこでもう1つ加えてみる。
するとついには、ぐんと下がっていた「失敗」の側の皿がほんの少しずつ上がり始める、そして天秤は、あなたが望む方向へと大きく動き出す。
もう一方の皿に過去からのマイナスの錘がどんなにたくさん乗っていても、ほんの数グラムの成功を1つずつ加えていきさえすれば(ただし、失敗側の皿に追加の錘を乗せてはいけない)、最終的には天秤は必ずあなたが望む方向に傾きを変え始める。
取るに足らないような小さなプラスの行動を2つ3つ乗せただけでは、あなたの目には天秤は少しも動いているようには見えず、いらいらしてしまうだろう。
それはあなたが自分の目に映る証拠で自分の選択を判断しているからだ。
20人のうち19人は、それに苛立ってやめてしまう。
今日まで人生で何をしてこようが、今どこにいようが、失敗曲線をどこまで滑り落ちていようが、あなたはいつでも成功につながるプラスのパターンを築き上げてやり直すことができる。
今のこの瞬間にも。
だが、そのためには時間というプロセスを信じなければならない。
なぜなら、それが起こりつつあっても最初は目には見えないからだ。
証拠、つまり目に見えるものに基づいて選択を行えば、あなたに見込みはない。
選択は、目に見えるものではなくて自分の哲学、すなわち自分が知っていることに基づいて行わなければならないのだ。