生き方上手

孫子の兵法「最後に勝つ人」の絶対ルール
　
第十講：「地形篇」
　
「自分の置かれた状況」の正しい見極め方
　
63　上司と部下の「理想的な関係」とは？
　
卒を視ること嬰児の如し、故に之と深谿に赴く可し。卒を視ること愛子の如し、故に之と倶に死す可し。

部下をわが子のようにかわいがりなさい。そう思えばこそ、ともに困難に立ち向かっていけるのだ。

孫氏は「将軍と兵士は親子のような関係だ」としています。

ここは組織における上司と部下の関係に当てはめて考えられます。

部下をわが子のように愛していれば、どんなに困難な状況になろうとも、行動をともにできます。

極端な話、喜んで生死をともにすることだってできるでしょう。

ただし、単に”ねこかわいがり”するだけではダメだと、孫氏は言っています。

手厚く保護してあげるだけでは、命令に従わせることも、規範に沿った行動を律することもできません。

そんなふううだと、部下は、子どもにたとえるなら、わがままドラ息子になってしまいます。

現代人にはちょっと耳の痛いところ。

会社では上司が部下と、学校では教師が生徒と、家庭では親が子どもたちと、深い心のつながりをつくることもせずに、ご機嫌をとるような傾向がありますから。

そうかと思うと、逆に上の者が下の者に対して権力をふりかざすように高圧的になったり、体罰を与えたりする例も見受けられます。

パワーハラスメントやモラルハラスメント、家庭内暴力などが、深刻な社会問題となっているのです。

上の者は下の者に対して、親のような無償の愛を注ぐ一方で、厳しく律する。

そのなかで深い心のつながりを醸成していかなくてはなりません。

職場における上下関係や師弟関係、家庭における親子関係が揺らいでいる今、孫氏のこの言葉はいっそう身に沁みます。


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