生き方上手
孫子の兵法「最後に勝つ人」の絶対ルール
第九講:「行軍篇」
勝者と敗者を分ける「人生行路の歩き方」
60 「アメとムチ」の人心信掌握術
卒未だ親附せずして之を罰すれば、則ち服せず。服せざれば則ち用い難し。卒己に親附して罰行なわざれば、則ち用う可からず。
まだ人間関係ができていないうちは、何かまずいことをやっても処罰しないほうがいい。反発して、よけいに言うことを聞かなくなるからだ。逆に親しい関係ができているなら、甘やかしてはいけない。ナメられるだけだからだ。
よく言われるように、下の者を指導・育成するにはアメとムチが必要です。
ただしただ交互に使えばよいというものではありません。
孫氏はこれを、人間関係のなかで捉えています。
たとえば新しい部下がついたとして、いきなり「たるんでるぞ!」「いうことが聞けないなら、もう会社に来るな!」などと厳しく叱りつけてはいけません。
最初に威厳を示しておかなくてはと思うかもしれませんが、これは逆効果です。
まだお互いのことが分かっていない、疑心暗鬼の状態ですから、部下はいきなりムチを食らうと不快になります。
「何だよ、ずいぶん高圧的なんだな」と反発するか、「嫌われてるのかな」と不安になるか。
いずれにぜよ、上司と距離を置こうとするでしょう。
そんな状態で、上司の言うことを聞くはずがありません。
まず良好な関係を築くことが大事なのです。
逆に親しい関係ができたときは、甘やかしてはいけません。
なれ合いから部下は「ちょっとぐらいさぼっても叱られないだろう」と上司をナメるようになるからです。
ミスをしたり、命令を聞かなかったりしたときは、ちゃんとムチを打つことが必要です。
若い者を指導する立場の人は、愛情をかけて彼らを教え導きながら、褒めるときは褒め、叱るときは叱る。
平素からそんなふううに部下と接していれば、心を一つにして事を進めることができるでしょう。
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