第3章 選択 P72

『スライト・エッジのもう1つの側面』
　
あなたの親友のIRAが退職時には100万ドル以上になることも、僕の母の貯金があの青年の1セントと同じようにゆっくりと複利で増えていったことも、小さなホテイアオイが大増殖したことも、カエルがその小さな手足で水をかくという動作がやがて生クリームをバタlに変えたことも、すべてはスライト・エッジが長い時間をかけて驚くような望ましい結果を生んだ例である。
　
だが、話はそれだけでは終わらない。なぜなら、スライト・エッジが逆の働きをすることもあるからだ。
　
僕は日々のちょっとした自己管理を積み重ねたからこそ、クラスで1番の成績でビジネススクールを卒業し、若くしてマネジメントで成功を収めることができた。
　
けれどもその次に待っていたのは、第１章で述べたジェットコースターのような激しい浮き沈みの部分だった。　
　
生き残りラインから失敗ラインへと再び転落しつつあった時期、僕は日々の自己管理を怠っていた。
　
それこそが失敗に向かって転げ落ち続けた唯一の理由である。
　
自分としては何の害もないと思われるちょっとした日々の選択をしていたつもりだったけれど、気がつかないうちにそれが自分を引きずりおろそうとしていたのだ。
　
映画『ゴットファーザー・パート３』でアル・パチーノ扮するマイケル・コルレオーネが「足を洗ったと思うとすぐに逆戻りだ」というセリフを口にするが、僕の人生がそれと同じような苦悩を経験することになったのはそのせいだった。
　
カーブを描く矢印を用いて示した次ページの図は、スライト ・エッジが人生に及ほし得る2種類の影響を表したものだ。
　
スライト・エッジを理解して人生に活かす場合と、そうではない場合の違いを表している。

この2つの矢印の形は、激しい浮き沈みを表す28ページの図の、上昇と下降を繰り返す曲線の上昇部分、下降部分と同じだということにお気づきだろうか。
　
ただし、28ベージの曲線は波状に上昇下降を繰り返しているが、次の図では2つの方向に別れる矢印の聞の距離は、
時間と共にどんどん広がっていく。
　
スライト ・エッジは容赦のない諸刃の剣である。
　
前向きに用いればあなたを成功へと押し上げてくれるが、不注意に取り扱えばあなたを失敗へと引きずりおろす。
　
ちょっとした生産的な行為を、長い間一 貫して続けるか。
　
ちょっとした判断ミスを、長い間一 貫して繰り返すか。
　
それだけのことなのだ。
　　
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