生きかた上手
「生きかた上手」日野原重明著
Ⅴ 治す医療から癒す医療へ
音楽で音楽で楽で音楽でが癒える
そのカナダのホスピスで、がんの末期の男性が、「これを歌ってほしい」と、自作の詩を音楽療法士に見せました。
死んでいくさみしい思いを、夏の終わりに咲く季節最後のバラの花に寄せた詩でした。
音楽療法士は即興でギターを奏で、節をつけて歌いました。
聴いているうちに男性は涙を流し、「また明日も歌ってください」と頼みました。
明日、あさって、しあさってと、間もなく閉じようとする人生に、なお新たな希望の光をその男性は見出したわけです。
それは医師にはなしえない癒しの技にほかなりません。
音楽は痛みをも軽くしてくれます。
多量のモルヒネを必要とするがん末期の患者さんが、音楽に包まれることで、薬の量を10分の1にまで減らすことができた例もあります。
痛みは主観的なものですから、不安や悲しみ、恐れによって何倍にも増幅されます。
心の不安が和らげば、現実に痛みまで軽くなるのです。
眠れない人が、すいみんy悪に頼らず音楽だけで眠れるようになったり、人前に出ると声が出ず、手が震えるという極度の緊張のある人も、音楽療法で病状を和らげることができます。
音楽療法士が出会いを重ねるうちに、自閉症の子どもにも奇跡が起こります。
1本の指揮棒の片方の先端を子どもがもち、もう片方を音楽療法士がもって音楽を聴いていると、ある日、かすかに子どもの持つ指揮棒の端が振動するのです。
そこから徐々に、子どもは音楽療法士に心を開くことができるようになりました。
私の患者さんにも、重いノイローゼで外出もままならない女性がいました。
ピアニストであったのに、病んで以来8年間もピアノにふれていないと言うので、「これを批評してください」と私が以前作曲した楽譜を渡したところ、おそらく弾いてみる気になってくれたのでしょう、「長年の不幸が癒されました」と、彼女は見事に病を克服して言いました。
薬でも治らなかった病が、音楽で治るのです。
それは患者さん自身の生きる力が、音楽によって引き出され、からだの不具合までも癒すからだろいと思います。
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