生き方上手
孫子の兵法「最後に勝つ人」の絶対ルール
第九講:「行軍篇」
勝者と敗者を分ける「人生行路の歩き方」
59 「うまい話」には気をつけろ
軍行に険阻・潢井・葭葦・山林・蘙薈有れば、必ず謹んで之を覆索せよ。此れ伏姦の処る所なり。
何か事が起きるときは、必ず前ぶれがある。どんな些細な現象も見逃さず、早いうちに事がどう変化していくかを察知しなければならない。
孫氏はここで、敵情を察知するための方法論を、事細かく述べています。
おもしろいところをいくつか紹介しておきましょう。
・行く手に険しい場所や池、窪地、葦原、草木の密集した暗がりなどあるときは、敵兵が潜伏している。
・敵がこちらの近くまで迫っていながら静かにしているときは、険しい地形を頼みにして、こちらが出てくるのを待ち受けている。
・敵が遠くから挑発してくるときは、おびき出して一網打尽にしようとしている。
・木が揺れ動いているのは、敵軍が進撃してくるしるしである。
・鳥が飛び立つのは、伏兵がいる証拠である。
・獣が驚いて走り出たら、森林に潜む敵兵が奇襲攻撃を仕掛けようとする予兆だ。
・土埃が高くまっすぐ舞い上がったら戦車部隊の進撃を、土埃が低く一面に広がったら歩行部隊の進撃を、土埃があちらこちらで細長く筋を引いていたら使役が薪をとっていることを、土埃がかすかに移動しながら舞い上がっていたら宿営の準備をしていることを見てとれる。
どうでしょう、かなり緻蜜に観察していると思いませんか?
孫氏の観察眼に心服させられると同時に、ほんの些細な現象も見逃しさえしなければ、敵の動きを正確に察知できるんだとわかります。
こういった方法論は、人生や仕事のさまざまな場面に応用できます。
総じて言えることの一つは、「うまい話には裏がある」ということ。
たとえば、非常に条件のいい仕事が舞い込んできて、「やります」と即答したら、法ストレスの行為を強要された、なんてことになるかもしれません。
あるいは悩んでいるときに救いの手が差しのべられて、「ありがたい」とその手にすがったら、お金をだまし取られた、というようなこともあるでしょう。
どんなにうまい話であっても安易に乗らず、「何か裏があるんじゃないか」と疑ってかかるくらいでちょうどいいのです。
孫氏のこの言葉から学ぶべきは、「常に用心深くあれ」ということ。
同じようなことを、老子も言っています。
「予として冬に川を渉るが若く、猶として四隣を畏るるが若く…」というのがそれ。
「予」とは、慎重に。
冬に凍った川を渉るときは、氷が割れないか、表面をトントン叩きながら慎重に進みますね。
だから常に「猶」、用心深く。
周囲に敵がいることを想定して、「どこかによからぬ者がいないか。自分を陥れようとしている者はいないか」と、目配りを怠ってはいけない。
老子はそんなふうに言って、用心深く人生を進むことの大切さを説いているのです。
あと一つ付け加えると、人と会うときは相手の顔色や表情、動作などを細かく観察する必要があります。
本心で何を考えているかを探る手がかりになるからです。
話に熱中しながらも、たとえば、
「目が泳いだ。嘘をついてるな」
「顔色が変わった。こちらの予測は図星だな」
「足を組み替えた。この話には、何か都合の悪いことがあるに違いない」
「手が震えてる。表情はにこやかだけど、相当緊張しているな」
「腕を組んでる。あまり信用されてないんだな」
「上着を脱いだ。心を開いている証拠だな」
といった具合に、表情や動作などから心のなかを読み取っていくのです。
注意深く観察していると、意外とよくわかるものなので、そうして得た情報を今後ビジネスや人間関係に生かすといいでしょう。
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