『Live Happy』『スライト・エッジ』習慣を身に着けよう!

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第3章 選択 P68


『億万長者の母』
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この本が創刊された後、僕の友人たちは僕にこう言ったものだ。「おい、ジェフ。この本はもう読んだかい?君のことが書いてあるよ。この本に書いてある事は、まさしく君の行いや振る舞いそのものだね。君こそがとなりの億万長者だよ」。
彼らの言うとおり、本に書かれていた事とお金に対する僕の姿勢は完全に同じだった。
僕は何年もの間、収入がどんなに増えても、1カ月の家族の生活費を4000ドル以下に抑えてたし、銀行の(税引き後の)預金が100万ドルになるまでは、その額を増やそうとはしなかった。その後、預金が100万ドルを超えた時点で5000ドルに増やした。
それから何年か経ったある日のこと、母と一緒に座っていたときにたまたまその本のことが話題になった。
友人たちが僕のことをどんなふうに言っているかについても話をした。
友人たちの僕に対する評価は、堅実でむらがなくて、一歩一歩着実に前に進み、派手なところが少しもないとなりの億万長者というものだった。
母はうなずいた後、「なぜそうなのか分かる?」と僕に尋ねた。
母が言おうとしているのがよく分からないまま、僕は「いや分からないな、どうして?」と答えた。
すると母は僕を見つめて、「それはねえ、私も億万長者だからよ」と答えた。
「何のこと?母さんの住んでいる家にそれだけの値打ちがあるって言っていたのかい?それとも...」僕は聞き返した。
だが、市場価格が高騰していた1996年当時でも、母の家にそんな値がつくなんてことはあり得なかった。僕にはそれが分かっていた。しかし母が他に何のことを言っているのか、僕には見当がつかなかった。
「いいえ。私、200万ドル持っているの。貯めたのよ。蓄えがそれだけあるってこと」と母は答えた。
何だって?僕はただ母の顔を見つめるばかりだった。
「私も200万ドル持っているのよ」母はもう一度繰り返した。びっくり仰天する僕の顔を見ると、母は肩をすくめて「別に自慢するような事じゃないけどね」と付け加えた。
毎日仕事に出かけ、日常生活を営み、子供たちの世話をし、小さな家で暮らしたあの長い年月の間に、母は密に貯蓄をしていたのだった。
堅実にこつこつと。誰にも気づかれることなく密に、文字どおり億万長者になっていたのである。
池を覆い尽したホテイアオイの力、生クリームをかき混ぜ続けてバターにしたカエルの力、1セントを数百万ドルに変えた双子の兄の力。それと同じ力によって、母は苦労して稼いだ自分の給料を数百万ドルもの大金に変えたのだ。
その力こそが本書のテーマである。
それまで全く気付いていなかったのだが、僕は生まれてからずっとスライト・エッジの非の打ちどころのない見本と一緒に生きてきたのだった。