生きかた上手
「生きかた上手」日野原重明著
Ⅴ 治す医療から癒す医療へ
治すためなら、患者に苦痛を強いてもよいのか
多くの人の期待に反して、医師が治せる病気というのは、実はそう多くはありません。
この先どんなに医学が進歩しようとも、「治せる病」はひと握りにすぎないでしょう。
「現代医学をもってすればどんな病からも救われる」という錯覚に、医師も患者もとらわれすぎているように私は思えます。
患者さんに検査や注射、手術という苦痛を与えておきながら、「病気を治すためだから、苦しくとも辛抱しなさい」と我慢を強いてよいものでしょうか。
完全に治せる病のほうが少ないばかりか、人間はいずれ死ぬのです。
そうであるなら、許された年限を、できるだけ快適に、苦しみが少なく、不安にさいなまれずに生きていくほうがはるかに問われてしかるべきです。
患者さんのその後の生にどれほどの精神的な負担や苦痛を与えるかを十分に考慮せず、病そのものを治すことに心を奪われてはいけないのです。
音楽療法は、従来の医療が顧みることのなかった癒しの技の一つです。
私は1986年に音楽が医療の一つになることを実証するために日本バイオミュージック研究会を起こし、1995年には全日本音楽療法連盟を同志と共に発足させて、音楽療法の普及と音楽療法士の資格認定の制度づくりを働きかけてきました。
しかし残念ながら国家による資格認定にはもう少し年月がかかりそうです。
医学は人間にもっと柔軟に全人的にタッチしなければなりません。
癒しの技をも認め取り入れていく度量が、これからの医療には必要だと思います。
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