生き方上手
How to master your life
『自分を超える法』Peter Sage
Key1 自分を超える「5つの法則」
法則1 成功の心理学
『「人間の6つの欲求」こそが、人間の行動を突き動かす』
②「不安定感のニーズ」
行動のさなかでは、恐怖は消える
「恐怖を前にすると、「やらない言い訳」がどんどん出てくる」
ところが、そのとき、担当のインストラクターが興奮気味に教室に入ってくるなり、こう言いました。
「ピーター!1人分枠が空いたよ。今日の最終ジャンプだ!僕がインストラクターでつくから、一緒に飛ぼう!もう、予約済ませたからね!」
私は心の中で、「冗談だろう、まだ準備ができてないよ。これからノートで復習しようと思っていたのに!」とつぶやき、さまざまな「言い訳」を考えました。思考は完全に「安定感」の中毒。どうにか、うまく言い訳をして、何とかジャンプをやめさせようとしていたのです。
でも、うまい言い訳が思いつきませんでした。逃げ場はありません…。
私が飛行場に着くと、すぐに30人ほどのスカイダイバーを乗せた飛行機に搭乗しました。すると、そこに、スカイダイビング初心者の男がもう一人乗っているのがわかりました。私たちが飛行機に乗り込むと、いよいよ離陸です。
あっという間に、空の上でした。旋回しながら3000メートルの高さまで上昇する頃には、私は「心をコントロールすること」が、非常に重要だと気づきました。というのも、隣を見ると、初ジャンプの男が、すでに恐怖におののいていたからです。私はとにかく、先ほど習った知識を、頭の中で何度も何度も復習していました。
約3800メートルまで上昇すると「赤いランプ」が点灯し、みんなが装備を点検し始めました。やがて「緑色のランプ」が点灯。スカイダイバーたちはみんな、まったく躊躇せずに、次々に、空に飛び込み始めました。
数秒後に機内に残されたのは、私と例の男と、それぞれに2人ずつついているインストラクターの、計6人だけでした。インストラクターが彼に言いました。
「スカイダイビングをする用意はできましたか?」これは、決まりになっていて、「初ダイビング」のときに必ずしなければならない質問です。でも、恐怖で凍りついた彼は、一言も発しません。インストラクターは、もう一度言いました。「スカイダイビングをする用意はできましたか?」
男は外を見たあと、こちらを振り返りながら首を振り「ノー!ノー!ノー!」と答えました。
もう一人のインストラクターは手のひらを耳にあてて、「今何て言った?『ゴー、ゴー、ゴー!』って言ったんだよな、よしわかった!」と言いながら、男を空に放り出しました。信じられない光景をまのあたりにし、、私は仰天しました。
私は自分のインストラクターに「何であんなことをするんですか?」と聞きました。すると、インストラクターは私の目をまっすぐ見据えて、一言こう言いました。「だって、飛んでもらえないと俺たちゃ給料がもらえないんだ」
突然、私は置かれている状況を把握しました。2人のインストラクターは、自分の金銭的動機だけで、私を空に放り出そうとしている。言い訳もききません。まさに片道切符状態でした。
いよいよ、私の番が来ました。インストラクターの「スカイダイビングをする用意はできましたか?」という言葉が聞こえましたが、私は何と答えても、もう無駄だと思いながら、下を見下ろし、一呼吸をすると、勇気を振り絞って一気に飛び降りました。
落下が始まり、速度200㎞くらいのスピードまで、毎秒ごとに加速していきました。轟音とともに、顔に吹き付ける風を感じながら、教えられたとおり、体を「シシュートが弓なり」にしならせました。もう、恐怖感は消えていました。
そして、2人のインストラクターの指示を受けながら、1500メートルまでの効果を確認。そこで「手元のひも」を引くと、パラシュートがふわっと空気をはらみました。時速200㎞の猛スピードから、一気に、十分の一の、25㎞まで減速。突然、まわりが静けさと安らぎに包まれました。
それまでの人生で、もっとも静穏ですばらしい感覚の1つでした。最高に嬉しい瞬間。
人生で最も爽快で、もっともすばらしい経験の1つでした。以来、私はスカイダイビングにはまっています。
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